天ぷらとダイヤと買取業者
昔、母親が若い頃指にはめていた指輪を天麩羅油に
落としてしまった話を父から聞いた。
今ではもうお笑い話だがその頃のエンゲージリングは
「給料の3か月分」の大金を叩き買う事で愛の証とも言える
そんな愛の証は天麩羅油の中で「プチプチ」を音を立て
もう見てられないぐらい悲しくなったと母亡き今、
いつも会社の接待でそのようなお惚気話で場を繕うとしていたらしい。
父は酒を呑み、指輪の穴の大きさの計測の失敗が大きい痛手となった。
その時は結婚指輪って何なのかも分らなかった頃の出来事、「
天麩羅の油が怖い」と天麩羅の油と格闘中に悲劇が起きたのです。
台所から聞きなれない母の悲鳴が聞こえ、
何があったかと台所に立つと天麩羅油の中にあるダイヤを見つめ、
呆然になったのでした。
「お前このダイヤいくらするっとおもってんだよ!」
と怒鳴るとまた泣き出し、
揚げるはずのサバの身を冷蔵庫に戻す後姿を父は見ていたそうです。
のようなサイトで買い取ってくれる業者をさがしてダイヤをもって行ったのですが
「無理ですよ買い取れませんよ」
と逆に説教される有様です。
買取業者にも見捨てられ途方にくれるばかり、
でもそんな「天然な所が好きだ」と思い出話を肴で酒を飲む父をつい可哀想になるのです。
